敏三郎と高杉晋作の成長 そして松下村塾へ

                                         

吉田寅次郎は、杉家で幽閉の身となるも、
寅次郎の学識と「共に学ぶ」という姿勢に
心を動かされた若者が集まり、
寅次郎が主宰する松下村塾が始まります。

この頃、寅次郎は松陰先生と呼ばれ
噂を聞きつけた若者が集まり始めました。

久坂玄瑞、吉田稔麿、松浦亀太郎、玉木彦助、野村靖らに
妙円寺の海防僧、月性の紹介でやってきた
赤禰武人が松下村塾に加わります。

さらに、寺島忠三郎と品川弥二郎もやってきます。

後に日本の初代内閣総理大臣となる
伊藤利助(博文)も、今回登場し入門します。

一方、名門・高杉家の跡取り息子・晋作は、
何をやっても「つまらん」ばかり・・
ある日の藩校・明倫館でも
つまらなそうに講義を受けています。

そんな高杉晋作
「松本村に行ってみろ。
 ペルリの船に乗り込んだ男が塾をやっとる」
と小田村伊之助が声を掛けます。

 


 

高杉晋作 参上

Print相撲見物が縁で知り合った敏三郎高杉晋作

敏三郎の家まで一緒に行った高杉は、
そこが伊之助の言っていた松下村塾と知り
国禁を犯した罪人の塾を見物したい・・
と申し出、塾生たちの議論を見学します。

塾生たちが真剣な議論をしているのに
大あくびをしたり「つまらん」と言っては
退屈そうな高杉に寅次郎が尋ねます。

「政(まつりごと)には興味はないですか?」

「嫌でもいずれ政に関わることになります。
 今は、三味線や詩(うた)を作っておる方が面白い」

と高杉が答えます。

「詩ですか ?
 それは是非お聞かせ願いたい !」

と、寅次郎がリクエストすると
高杉は自信満々に立ち上がり、目を閉じ吟じます。

誰(たれ)か道(い)う

天工(てんこう)は人作(じんさく)に勝ると

知らずや人作は天工に勝るを

万尋(ばんじん)の富岳(ふがく)

千秋の雪

却(かえ)って斯翁(しおう)の

一掌中(いちしょうちゅう)にあり

高杉が吟じ終わるや、寅次郎は朗らかに言います。

「ほおぉっっ・・すばらしい才能ををお持ちじゃ !」

どんなもんじゃい !!・・・とばかりの得意気な高杉。

「だが、久坂君ほどではないですね」

寅次郎の言葉に顔色が変わる高杉に
おかまいなく寅次郎は続けます。

「以前に、久坂君が披露してくれた詩、
 あれは実に素晴らしかった。

 学問も詩も、武士のあなたより
 医者である久坂君の方が優れているようですね。
 実にもったいない」

高杉は、鋭いまなざしで寅次郎を睨みつけます。

 


 

松下村塾への訪問者

Unpin_Umedaそんなある日のこと、
小浜藩出身の儒学者・梅田雲浜が
京から寅次郎を訪ねて松下村塾に来ます。

雲浜は幕末を代表する攘夷論者でした。

雲浜は、赤禰と久坂の前で
寅次郎と親しげに話しをします。

「何としても、天子様のおんため、
 異国を討たなければなりません」

雲浜がそう言うと、赤禰が雲浜に言います。

「私たちも同じ気持ちにございます !」

この梅田雲浜が、後に安政の大獄の際、
幕府が松陰を江戸に召喚する理由の一つとなります。

大獄で捕えられた雲浜が
寅次郎と政治的謀議を行なったのではないかと
疑ったためです。

その際、この寅次郎の弟子の赤禰が
後に京都で雲浜に入門するのですが、
それが寅次郎と雲浜の結びつきの証拠とされ
問題にされたのでした。

そうした意味で、雲浜や赤禰との接触は、
寅次郎の運命を変える出来事の一つとなっていきます。

雲浜と話している時に
富永有隣もやって来ます。

寅次郎のおかげで
野山獄から出ることができたのだが、
帰る家がないため、杉家にやって来たのでした。

「また食べる口が一人・・」
文はため息をつきます。

銭入れを出し、
生活を乗り切る術を思案する文の様子を
心配そうに敏三郎は見ています。

 

 

火の車の松下村塾

寅次郎の塾にやってくる塾生たちの
賄いや学問に関わる費用のために、
杉家の家計は火の車です。

家計のやりくりに頭を痛める文は、
裕福な名門の子息である高杉が入門してくれたら
家計が楽になると目論みますが、失敗します。

atoshisaburou一方、敏三郎は豪快な高杉に憧れ、
文の知らぬ間に高杉に急接近し
挙動不審な行動が増えます。

高杉の影響で敏三郎は、
飲酒どころか煙草まで覚えます。

ある日、酔いつぶれた敏三郎を
高杉は杉家まで送って来ます。

そんな高杉に久坂は怒っているところに
寅次郎が出て来ます。

「おお~高杉君 !
 ちょうど面白い議論をしていたところです。
 どうぞこちらに」

寅次郎に誘われるまま、高杉は幽囚室に入ります。

 第9話「高杉晋作、参上」その2  へと続く

 


 

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