医者坊主でスイッチオン 久坂玄瑞

                                         

第8話「熱血先生、誕生」その3 からの続きです。

「・・・今、何と?」 

文から医者坊主と言われた久坂玄瑞が、
ピクっ・・と反応するも、文は続けます。

「手紙だけなら何とでも虚勢張れます。
 本当は怖かっとったとしても・・」

「い~しゃあ~・・ぼおずぅ~??」

しゅぴぴぴぴ・・と、目から光線を出しているような表情で
久坂が、ゆっくりと文の方を向きます。

「怖いんでしょ。医者坊主ですもの・・ 武士ではございませんし・・」

それを言っちゃあ、おしめぇよぉ~とばかりのオーラーが
久坂から出ているにもかかわらず、火に油を注ぐようなことを言う文。

 


 

久坂玄瑞、怒る

「何じゃとぉ~!!」

立ち上がり激怒して文の目の前まで来た久坂に
文は、ひるまずに続けます。

「怖くないと言うなら、うちの兄と戦うてみたら? 
 この・・・医者坊主!」

久坂は拳を振り上げ、握る手に力をこめます。
殴られ思い、顔をそむける文。

「女に手は上げん。じゃが、お前の兄を斬る!」

そう言うと、久坂は部屋の奥に飛び込み、刀袋を持ってきて

「どけ~い!!!」と、叫びながら、
文と敏三郎の横を走り抜け、外に飛び出していきました。

「え? ええっ? どうしよう! どうしよう! 寅兄が、斬られる!」
文と敏三郎は久坂のあとを追います。

 


 

久坂玄瑞の暴走

明倫館への入学がダメになり、クサって歩いていた吉田稔麿は、
女性の叫ぶ声が聞こえてきます。

「待って! 誰かっ、すいません!!」

「お文さん?」

稔麿が文の声だと気付くと、
久坂が、暴走機関車のように走り抜けて行く。akisha

「止めてっ! 寅兄、寅兄が、斬られる!
 斬られる 止めて下さい 止めて !」

それを聞き、魚屋の松浦亀太郎も驚き、
慌てて追いかける。

久坂は、杉家に着くと
肩で息をしながら、家の中に向けて大声で叫んだ。

「出てこい! 吉田寅次郎! 」

「ん・・なんじゃ??」
通り掛かった玉木彦助も驚きます。

「出てこい! たたっ斬っちやる!」

「久坂殿、何をなさる!」
稔麿が興奮している久坂の腕をつかむも
「やかましい!」 
と、投げ飛ばされる稔麿。

「何するんじや、お前、こらっ!」
今度は稔麿が久坂につみかかるが、反対に久坂に投げ飛ばされる稔麿。

怒り心頭の久坂は、もうどうにも止まらない。

「ちょっとちょっとちょっと、やめてつかーさい!」
必死に久坂にしがみついて止める亀太郎。

「あんたら、人ん家の前で何やっちょ~の!」
そう言って、なだめようとした彦助を突き飛ばしてしまう稔麿。

今度は、突き飛ばされた彦助も稔麿につかみかかります。
「誰じゃお前!」
「お前こそ誰じゃ!」

亀太郎と久坂は倒れたまま揉み合っています。

杉家の庭は大乱闘となり、収拾のつかない状態。
文も敏三郎もオロオロするばかり・・・

 

 

医者坊主の刀

久坂玄瑞が、再び叫びます。

「出てこい! 吉田寅次郎!」

その声に、寅次郎が幽囚室から
亀のように顔を出します。

「たたっ斬っちゃる!」
久坂は刀袋から剣を取り出そうとし緊張が走ります。

稔麿と彦助も自分の刀の柄に手をかけます。

「やめて~ !」

そう叫んだ文は、久坂が取り出した刀を見て
「えっ?」と、目が点になります。

「おまぇ・・なんじゃ、それ」
と、噴き出す吉田稔麿。

「そげなもので寅次郎兄のこと斬るつもりやったんか ?」
と、呆れる玉木彦助。

 ヘナヘナと拍子抜けしたように笑う松浦亀太郎。

極度の緊張から開放されて、みんな笑います。

なぜなら、久坂の取り出したのは真剣ではなく、
木刀だったからです。

「ばかにしくさって、お前らにや分からん!
 そうじゃ、木刀じゃ! 木刀で何か悪い! 
 医者坊主は、刀も持てん!」

そう叫びながら、そこら中を
狂ったように木刀で叩きまくる久坂。

久坂は、自分の部屋の奥に刀を取りに行った時、
兄の形見の脇差しを、一度は手にしたものの
結局、木刀を選んで持ってきたのでした。

第8話「熱血先生、誕生」その5
 へと続く

 


 

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