久坂玄瑞と寅次郎との手紙のやり取り

                                         

第8話「熱血先生、誕生」その2 からの続きです。

翌朝、うたた寝をしてしまった久坂玄瑞
寅次郎からの返書が届いた知らせで、目が覚めます。

何を今さら・・と思いつつ、
寅次郎からの返書を読み進めるうちに
いっぺんで眠気は吹っ飛び、再び頭に血が上っていきます。

 


 

寅次郎と久坂玄瑞の文通

 返事が遅くなりましたが、
 決して怠けていたわけではありません。

 君はすぐに頭に血が上って
 大きなことを言う人のようなので、
 待っていたんです。

 そろそろ頭は冷えましたか?

 さて、今や幕府は、
 すでにアメリカ、ロシアの二国と
 和親条約を結んだのですから、
 こちらから国交を絶つべきではありません。

 あなたの言うように、
 つまらない昔の例にならって、
 外国の使節を斬って気晴らししても、
 無意味です。

 あなたの意見に一つとして
 自らの実践から出たものはなく、
 一語として空論でないものはありません。
 大いに残念

再び、久坂から返書が届けられると、
寅次郎は、待ってましたとばかりに
嬉しそうにその手紙を読みます。

 あなたが何と言おうと、
 国を守るために、 
 まず為さねばならないことは
 異人を倒すことだ。

 それによって、
 戦う覚悟を日本人の心に刻み込み、
 士気を高めることができるのだ! 
 
 空論と言いたければ言えばいい!

その手紙は、もう書きなぐられていました。

「すばらしい。これはすばらしい!」
寅次郎は感極まっています。

「そんなこと言うとる場合ですか!
 さらに怒らしてしもうたやないですか!」

「兄上、ご存じないと思うけど、久坂様のお家は・・」

寅次郎は、もう久坂のことで頭がいっぱいらしく
文の言葉は聞こえていないようです。

ashoin001「のう、文。どんな顔をしとるかのう ?
 この若者は。

俺はここから出られん。
出向くわけにも、いかん」

寅次郎は悔しそうに言います。

野山獄で、高須久子が娘の糸を
わざと怒らせて呼んだように
久坂を怒らせて寅次郎の元へ
飛んで来るのを待っているのでしょうか。

 


 

伊之助に突き放される文

伊之助に、寅次郎と久坂玄瑞との
手紙のやり取りの話をする文。

伊之助からは、困って泣きつきに来たことを
文は見抜かれてしまいます。

けれども、伊之助は、
明倫館での勤めが忙しくなるから・・
もう寅次郎には関われないと言います。

寅次郎の出獄のために
己を捨て、椋梨に嘆願に行った伊之助は
椋梨に近寄らざるを得なくなりました。

寅次郎のことを監視しろと椋梨から言われているため
寅次郎とは距離を取ろうとしているようにも感じます。

そこへ、寿が、きれいな着物で現れます。a111537

椋梨の奥方から頂いたと言う寿に
そのような物を勝手にもらっては困ると
伊之助は言います。

伊之助の立場を知らない脳天気な寿は、
「せっかくのご好意をお断りできませんもの」
と、上機嫌で紅を買いに行ってしまいます。

その様子を見ていた伊之助は
「俺をあまり当てにするな。もう助けてやれん」
再び文に釘を刺します。

 

 

寅次郎と久坂玄瑞を引き合わせようとする文

「魚屋が絵~描いて、それでおまんま食えるかぁ !」
と、描いた絵を母に燃やされてしまう松浦亀太郎。

せっかく暗誦できて有頂天になっているのに
叔父・玉木文之進から、
「何を得意げに・・寅次郎なら5歳でやってのけた」
と、クサされてしまう玉木彦助。

「やはり明倫館は軽卒の身では学べるところではなかった」
と、入門ができなくなった旨を知らされ、気落ちする吉田稔麿。

 

 一方その頃、文は、嫌がる敏三郎も同伴させ、
意を決して、久坂玄瑞の長屋に行きました。

怪訝そうな顔をしている久坂に文は言います。a112833

「あの・・良かったら・・これ・・握り飯です。
 梅干しとおかか・・」

「馬鹿にしとるんか ? 
 ボロ住まいやから・・飯も食えんのであろうと・・ 」

「そげなつもりじゃ・・」

「何の用じゃ ? 」

久坂に言われ、文は覚悟を決めて話します。

「兄と・・ぜひ直に会うて欲しいんです。」

「何じゃと !?」

「兄は、普段は、あんな失礼な手紙を書くような人物ではございません。
 きっと行き違いがあったんです。
 もしよろしければ、手紙より、
 いっそ我が家にいらっしやいませんか?」

「吉田殿とはこれきりじゃ。
 どんな立派な人物かと思うたら、
 世間の評判どおり、取るに足らん、浅はかな男。
 おまけに底意地が悪い。

 伝えてくれ。
 もう二度と俺に便りなどよこすなと」

そう言い捨てると、久坂は
ツカツカと家の中に入り、バタンと戸を閉めてしまった。

 

 

文と久坂玄瑞の対決

そこまで言うかぁ・・とばかりに
カチンと来た文は、挑むように言います。

「また、そうやって、
 おひとりに戻るんですか ?

 穴ぐらに閉じこもって、
 おひとりで学問をするんですか ?」

「女と話をしとるヒマはない」と
家の中から、久坂は言い捨てます。

女と見下げられ、怒りが込み上げてきた文は
久坂の家の中に飛び込み、言い放ちます。

a109028「ほぉ~・・怖いんですね、兄が。

 日本全国、旅して、黒船まで乗って、
 異人と会うたこともある兄が怖いんですね。
 
 だいたい異人を斬るとか、斬らんとか、
 そげな物騒なこと息巻いて言うんは、
 どうなんですか?

 子供じみてます!」

久坂は、もう知らん顔・・
聞こえないような顔をしています。

「医者坊主!」

文は、ついに久坂への禁句を
口にしてしまいます。

第8話「熱血先生、誕生」その4 へと続く

 


 

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