椋梨藤太の狙い 高杉晋作と久坂玄瑞 日本のサムライ

                                         

第8話「熱血先生、誕生」その1 からの続きです。

ある日、椋梨藤太の屋敷に藩の重臣たちと
藩の商いを担う商人が集められました。

椋梨派と周布派の面々と
商人たちが一堂に会しています。

伊之助は周布政之助の隣に座っていました。

途中で、椋梨が伊之助に
諸事手伝いを任せることにしたと発表します。

椋梨の一声で、伊之助は表情を変えることなく、椋梨派の面々に酒をついで回ります。

 


 

椋梨藤太の狙い

「どういうことじゃ 周布」 
「小田村、寝返ったっちゅことか」
「長いものには巻かれろか、節操のない」

周布派の面々は怒り心頭で退出します。

a-musume一方、伊之助の妻・寿も、
椋梨奥様連合のお香の会に招かれます。

寿は、装いをバカにされますが
椋梨の妻・美鶴に庇ってもらいます。

しかし、美鶴は、
本心で寿に近づいたのではありませんでした。

あくまで、椋梨が伊之助を取り込もうとするための
お手伝いに過ぎなかったのです。

椋梨藤太は、最近、周布に組する一派が
力をつけて来ているので
その結びつきを乱すために
疑心暗鬼の種を蒔こうというのが狙いでした。

 


 

久坂玄瑞の返書

久坂の家から戻ったその晩、
文は寅次郎の幽囚室に行きました。

「兄上 ! なぜ、あのような失礼な手紙を ?」

久坂玄瑞の様子は ?」寅次郎は文に尋ねます。

「大層ご立腹にございます」

「そおか~ そうか ♪」寅次郎は嬉しそうです。

「どういうおつもりで、久坂様に」

文が、そう言いかけた時、敏三郎が
久坂からの返書を持って来ました。

寅次郎は手紙を広げます。

 異人を斬るにはすでに遅いとおっしゃるが、
 ならば負けると知りながら、
 何も手を打たないというのか ?

 川の堤防が決壊してしまった後では
 水の流れをせき止めることはできない。

 今速やかに異人を斬るべきと論ずることが、
 どうして浅はかだというのか ?

 医者の立場から論じろというが、
 言われるまでもなく、
 医者としてしか生きられない自分の立場に
 私自身、憤慨に堪えない。

 立場を超えて国を思う気持ちを語ったのに、
 罵言雑言で返してくるとは、失礼極まりない。

 宮部殿があなたを賞賛したのも、
 私があなたを豪傑だと信じたのも、
 どうやら誤りだったようだ!

頭から湯気を出して怒っている
久坂の様子が伝わって来るような手紙です。

「ぬははは・・なるほど・・」

寅次郎は手紙を読み終えると、
とても満足そうです。

「兄上 ! 早う謝るべきかと・・」

文がそう言っても、気に留めない寅次郎。

「そうじゃのお・・・」

寅次郎は、読みかけの本を手に取り、
読書を始めようと寝転ぼうとします。

「早く! ごめんなさいの手紙!」

寅次郎の背中を押して起き上がらせ
まくし立てるように文がいいます。

「そうじゃな・・返事を書かねばな。
 ひと月ばかり経ったら書くとしよう」

びっくりする文。

 

 

日本のサムライ

この頃、日米和親条約を結んだアメリカから、
下田の玉泉寺に、ハリス総領事とヒュースケンが到着していました。

二人は今後の日本との交渉について話します。

「日本との通商条約を結ぶまで、
 私はアメリカには帰らない覚悟だ。」

ハリスがそう言うと、ヒュースケンは返します。
「大砲と軍艦で脅せば、すぐに屈服しますよ」

事実、そうやって欧米は
アジア諸国を植民地化してきました。

a111539「いや・・日本のサムライは、侮れないぞ」

日本は他のアジアの国とどこか違う。

同じようなやり方で、安易に征服することは
難しいと、ハリスは感じ始めていたのです。

 

 

久坂玄瑞の孤独

一人、木刀で素振りをし
寅次郎に対しての怒りを込めながら
打ち込む久坂。

ふと、兄から託された刀に目をやり
兄・久坂玄機のことを想い出す久坂でした。

その頃、文は、かつて玄瑞と一緒に話していた
稔麿の家を訪ね、久坂玄瑞について尋ねます。

「どのようなお方なんですか?」

傘張りの内職をしながら、答える稔麿。

プリント「医者の家に生まれたくせに、
 武士になりたいと言うておった。

 じゃが、十五のときに、
 相次いで親兄弟を亡くして・・
 父、母、そして兄も。

 結局、兄の代わりに
 医者の家を継ぐことになった。

 『医者坊主』ってからかわれると、
 すぐ激高して殴りかかってきよる」

「それじゃあ、今は ?」

「天涯孤独・・。ここ何年かは、
 ひとり寵もって、学問ばかり」

文は、以前会った時の玄瑞の嘆き
そして寂しそうな眼差しの理由が
いま初めてわかったのでした。

 

 

久坂玄瑞と高杉晋作

貸本屋から代金の未納を理由に
注文を断れてしまった久坂玄瑞。

その帰りに遊女といっしょにいる
高杉晋作と会いました。

aoiran「お~ ! 久坂」
高杉が声を久坂に掛けます。

「また懲りずに女遊びか・・」
久坂は呆れるように言います。

「その・・貸本屋に、お前の本が・・」
貸して欲しいのか、久坂がそう言いかけると

「また父上か・・。売って飲み代にするか・・」と
いい迷惑だとばかりに、高杉は遊女に言います。 

「どうじゃ? お前もたまにはつきあえ」
高杉が久坂に遊びを誘います。 

「くだらん !」 久坂は去ろうとします。

「おい、本の虫! 仙人じゃあるまいし、
 生身の女を抱いてみろ、物の見方が変わるぞ。」

そう言う、高杉の差している刀を見て、
自分との境遇の違いを感じる久坂。

「決まりじゃ」と、高杉が久坂の肩に手をかけます。

久坂は、高杉をにらむと
「くそったれが !」と言い放ち、
高杉の腕を振り払い、去っていきました。

久坂は、家に戻り暗い部屋の中に一人でいます。

行灯の光の中で一冊の本を開くと、
文と引いたおみくじが挟んでありました。

心に蓋をするように
久坂はすぐにその本を閉じました。

一方、その晩・・「ええことしましょ」
と、女郎から誘われる高杉でしたが

「つまらん。・・つまらんくて、死にそうじゃ・・」

と、そっと呟きながら
ごろりと寝転がる高杉でした。

いくら裕福でも、高杉は
己の生きる目的を見出だせず苦しんでいるようです。

高杉晋作は、ただのチャラ男ではありませんでした。

 第8話「熱血先生、誕生」その3 へと続く

 


 

コメントを残す