高須久子からの依頼 野山獄で書を教える富永有隣

                                         

野山獄紅一点の女囚・高須久子から
寅次郎からの手紙を通して
文は、ある依頼を受けました。

亡き父の菩提を弔いたいので、
遺品をもらい受けに
久子の実家に行ってもらいたい
というお願いでした。

 


 

高須久子の頼み

文(井上真央)は、頼まれごとの結果を
高須久子(井川遥)に報告するため
野山獄に行きました。

文(井上真央)は、弟の敏三郎伴ってもらい
高須家を訪ねましたが、
久子の名前を出した途端、
追い返されたのでした。

「無理は承知の上です。何度でも訪ねて頂けませぬか?

獄中にいる久子の頼みですので
文は、再び引き受けるのでした。

文は、久子の美貌に思わず

「おキレイです」

と言ってしまうと

「あなたも可愛いですよ」

と久子はを出して文に見せようとしましたが
その鏡は、長いこと使用してなかったらしく
曇りきって何も見えませんでした。

また、文も久子に、
兄・寅次郎に渡して欲しいと
金子のボタオを渡します。

「大切な方の遺したもんです。元気が出るかもしれません。」

「あと、これを」 

そう言って、お手製のお手玉
久子にプレゼントしました。

abotao001久子は、寅次郎(伊勢谷友介)の房の前に行き、
文から頼まれたボタオを差し出し
寅次郎は、黙って受け取りました。

手のひらのボタオを、苦しそうに、
じっと握りしめる寅次郎でした。

「愚かなやつめ。己を責めとるんじや。弟子を殺した己をな !」 

久子が自分の房に戻る途中で、
富永有隣(本田博太郎)が
そう呟いて立ち去りました。

「己を・・・責める ?」

久子は、寅次郎と自分は同じだと感じました。

 


 

富永有隣への差し入れ

ある日のこと、獄吏の福川犀之助(田中要次)が
富永の房の前に立ち声をかけた。

「差し入れじゃ」

「吉田の妹御からじゃ」

手渡されたのは一本のだった。

「おぬしが書いた文字にいたく感服したようじゃ。
 だが、ところどころ墨がかすれていたんで、
 筆先が荒れとるんではと・・」

文は、寅次郎からの手紙の中に紛れていた
富永の書いた書面の文字を見て、
筆の状態に気がついたのだ。

「おお !! わしの文字によう気付いた!
 吉田の妹の慧眼恐るべし !」

富永は、寅次郎の房へ駆け寄って
「どうじゃあ~」と
そのを嬉しそうに見せると
寅次郎は読書をやめ、にこやかに言います。

「妹の心尽くしの品でございます。どうかご愛用ください」

獄に入って以来、ただの一度も差し入れがない
富永は、嬉しくてたまらないようだ。

「久しぶりに『』を書きとおなった。

 どおれ~、墨でもすろうかのぉ・・

 望むのなら、稽古を・・・つけてやってもいいがのぉ~」

横目で寅次郎を見ながら富永が挑発します。

金子のことで凹んでいる寅次郎に
元気づけるつもりで言ったのでしょうが
そのやり取りを聞いていた野山獄の他の獄囚たちが、
我も・・我も・・と富永に『』の稽古を申込み、
上へ下への大騒ぎになります。

 

 

野山獄の『書』ブーム

野山獄の獄囚が、
次第に『書』に関心を持つ様子を
房の中から見ていた久子は
お手玉を手に載せながら、
ふっと顔をほころばせます。

何だか獄内の空気が変わった来たような気がするのです。

富永は、獄囚たちに『書』教え始めました。

「楷書は誰を学べばええ?」と吉村善作(日野陽仁)が尋ねると、
「欧陽詞、虞世南の名蹟を学べ」と、富永は即答します。

獄囚が『書』一枚書き上げると
福川が受け取り、
赤ペン先生の富永の房に届け・・

文が差し入れた新しいで富永が
その『書』を朱墨で添削し・・

福川が添削した『書』を集め、
それぞれの房に戻す・・のでした。

福川は嬉しい悲鳴をあげる程、忙しくなりました。

そして、久子も楽しそうに
お手玉に興じるのでした。

文から富永への差し入れ以来、
野山獄はにぎわい始め
まるで今まで止まっていた時間が
動き出したかのようでしたが、
寅次郎の時間だけは
止まったままでした。

今や『書』の稽古は
野山獄での日課になりつつあるのに
普通なら、率先して参加しているハズの
寅次郎だけは参加していません。

寅次郎は、金子のボタオを握りしめては
金子のことを思い出しては
自分自身を責め、苦しんでいるのでした。

第6話「女囚の秘密」その2
 へと続く

 


 

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