涙袖帖

                                         

第50話「いざ、鹿鳴館へ」その1 からの続きです。

上野から熊谷間までの鉄道が開業し、
前橋までの工事が始まり
迎賓館も完成間近となります。

そんなある日、楫取素彦は
「県令を辞めようと思う」
と、美和に打ち明けます。

群馬での自分の仕事は終わったと感じ、
あとはこの土地の人間たちで
やっていくのがいいと思ったからでした。

楫取に意見を求められた美和は
「私は旦那様についていくだけです」と答えます。

 


 

美和の迷い

美和は、そのことをせいに打ち明けます。

楫取の決意に賛同したものの、
姉との約束でもあり
みんなで創りあげた学び場のことで、
美和は、迷っていたのです。

そんな美和に、せいは
「みんな自分で考えて
行動できるようになったんだよ。
あんたに生きる力をもらったからね」
笑って、美和の背中を押してくれます。

阿久沢商店で、せいがそのことを
女たちに伝えると、女たちが反対します。

せいは、笑ってお送りしようじゃあないか・・
と、みんなをたしなめます。

 


 

群馬との別れ

一方、美和は、楫取に
「どうか一粒の籾として、
次の春の種となれますよう・・・
次は、どねな場所に植えることになるか、楽しみです」
と言って、学びの場の種を渡し、自分の決意を伝えます。

その後、楫取は、東京、明治政府の
太政大臣・三条実美に辞表を提出しました。

そのことを知り、県庁は大騒ぎとなりました。

東京から戻った楫取と美和は
完成間近の迎賓館・臨江閣に呼ばれます。

そこには、星野長太郎、中原復亮が
待っていて、二人の送別会を
開いてくれるとのことでした。

楫取の辞任に反対していた県庁職員も
阿久沢権蔵の説得で、納得したとのことでした。

臨江閣には、阿久沢やせいや県庁職員だけでなく、
船津伝次平もいました。

船津は、楫取の推薦のおかげで、
東京の大学で農業を教えられることになった
と、嬉しそうです。

阿久沢はあいさつの途中で、
涙声になってしまいました。

トメ、キク、ナツたちは、
絹の寄せ書きを
美和にプレゼントしてくれます。

続いて楫取のあいさつで
壇上に立った楫取は、
美和を呼び寄せて話します。

そして、美和と楫取が
群馬を去る日が来ました。

阿久沢や職員や女たちが
ホームまでお見送りに来てくれます。

せいは赤飯のおにぎりをつくり
差し入れてくれます。

美和と楫取は、汽車で群馬を離れます。

 

 

涙袖帖

汽車の中で、楫取は、
美和に三巻の巻物をくれます。

巻物には「涙袖帖」(るいしゅうちょう)と
タイトルが書かれており、
久坂玄瑞からの手紙をまとめた巻物でした。

美和は、久坂や高杉晋作、
吉田松蔭たちのことを思い出します。

山口の萩の松下村塾では
杉民治が子どもたちに勉強を教え、
亀は、にぎり飯を作って
子供たちにあげています。

滝は、美和たちのために
お風呂を沸かしています。

美和は、汽車の中で
学びの場の種を取り出して
楫取と二人で、
嬉しそうにながめています。

それから、時が流れ、
畑の土から芽を出した双葉を撫でながら
「どうか一粒の籾として
次の春の種となれますよう」
と、美和が念じています。

 


 

コメントを残す