野山獄と岩倉獄 そして金子重輔

                                         

密航の罪により
吉田寅次郎(伊勢谷友介)が入れられた野山獄
武士が投獄される長州藩の牢獄で
2畳ほどの独居房(一人部屋)。

野山獄は、そういう独居房が、
それぞれ6房ずつ入った2つの棟が、
小さな中庭を挟んで向かい合っている造りでした。

一方、金子重輔(泉澤祐希)が入れられた岩倉獄
雑居房(相部屋)で、
農民、職人、商人などの庶民と
庶民同様に考えられていた身分の低い武士である
軽卒(中間や足軽)も入れられる牢獄で
「百姓獄」とも呼ばれてました。

岩倉獄は、野山獄の道を挟んで向かいにあり、
野山獄より、はるかに劣悪な環境。 

そんな岩倉獄の方から
「先生・・」と
金子のかすかな声が聞こえて来ると、
寅次郎は、いてもたってもいられず、

「お頼み申す。どなたか金子をここへ。
 私のそばに置いてやってくだされ。」

寅次郎は、叫んで懇願します。

金子は、江戸の牢獄で
深刻な皮膚病にかかり、
その上、萩へ戻る道中で肺もやられ、
すっかり衰弱しきっていたのです。

 


 

寅次郎の手足となるべく野山獄に通う文

 

連日のように野山獄に通う文(井上真央)に、
獄吏の福川犀之助(田中要次)が
寅次郎からの手紙を渡します。

「読みたい本だそうじゃ。差し入れてやれ」

寅次郎には会うことは許されないものの、
書状のやり取りだけは、認めてもらえていた。

杉家の家族は、
獄中の寅次郎のリクエストに応えるべく
一致団結して本を揃えたり
萩で揃わない本は、江戸にいる伊之助に手紙を書き
伊之助もまた一生懸命に調達しました。

また、書物以外でも
寅次郎の健康管理のための品物まで揃えました。

何とステキな家族でしょう。

 


 

金子重輔の母ツル

 

そんなある日、文は、
ひと目息子に会わせて欲しい・・と
岩倉獄の獄吏にすがりつく女性を見かけました。

野山獄の獄吏の福川が
あれが、金子重輔の母・ツル(麻生祐未)だと
そっと文に教えます。

寅次郎の弟子になったばかりに
牢獄に入った上、病に苦しむ羽目になった金子。

金子の母親の気持ちを察すると、
文は胸は苦しくなるのでした。

それから、しばらくして
寅次郎に本を差し入れに来たある日、
金子との面会が叶わず
肩を落として、岩倉獄から出てきた
ツルを見かけました。

a112833たまらなくなった文は

「一緒にいかがですか? 握り飯です。
食べて力をつけてつかーさい。
母上様も必ず会える日が来ます。」

とお弁当を誘い、一緒に食べました。

文がツルの爪が青に染まっているのに気付くと、
染物屋の仕事で爪が青くなったことと
金子と親子仲良く仕事をしていた
幸せな頃の話を聞かされます。

もっと学問がしたい、
武士になりたいという
金子の望みを叶えたくて江戸に行かせたが、
「あの時に止めていたら・・」と
ツルは、後悔しているようでした。

 

野山獄の囚人、吉村善作と富永有隣

 

獄吏の福川が、11人の囚人がいる
すべての独房を開け放し、
表に出るよう囚人たちに声をかけます。

外に出た寅次郎は深呼吸をしました。

a077225寅次郎の向かい側の房から、
「山眠る・・か」とつぶやきながら、
吉村善作(日野陽仁)という男が姿を見せます。

「俳句をたしなまれるんですか ?」

「手ほどき願えませんか ?」

「皆さんもいかがです?ともに学びませんか ?」

寅次郎は、各房に声を掛けていると
威嚇するように壁をたたき続ける男がいます。

それは、かつて明倫館の秀才とうたわれた
富永有隣(本田博太郎)という男でした。

「俳句だと・・町人の遊芸ごときに気をようしおって」 

富永が悪態をつくと

「ふん、あぶれ者の戯言なんぞ聞く耳持たんわ」 

吉村も言い返した。

「素晴らしい。悪口とは、つまるところ生きる執念でござる。
獄の中にあって、なお周りを罵倒してやまんとは。近々ぜひ」

寅次郎は、富永の房に近づき一礼した。

第5話「志の果て」その2
 へと続く

 


 

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