宿下がり

                                         

第33話「花となるために」その2 からの続きです。

奥御殿では、山口の出立の前日
銀姫が美和に、父上の見舞いのため
半日の宿下がりを許します。

家へ帰ってしまったら
二度と奥御殿へ戻れないかもしれない
そんな心の迷いと弱みを見せます。

そんな美和に銀姫は言います。

「それでもよいではないか。
振り払えず、二度と
ここに戻れなくなったとしても。

そのように懐かしく温かいものを
何より大事にするそなただからこそ、
私はお前を信じた。

ここまでよう・・誠によう・・
尽くしてくれました。
急ぎなさい。父上を大切に・・」

銀姫は、これが別れに
なるかもしれない思いで
美和の背中を押してくれたのです。

 


 

久しぶりの杉家

美和が、久しぶりに杉家に帰ると、
亀、小太郎、滝、豊が迎えてくれます。

百合之助は梅太郎と
美和のために風呂を沸かしてくれます。

その後、百合之助は
美和と二人で畑へ行きます。

そこで、百合之助は美和に言います。

「お前には、謝らにゃならんことがある。
ずっと昔のことじゃが、まだ幼いお前に、
寅次郎の力になれと言うたことがある。

それがお前のためでもあると思うての。

もう少し早う、ここから解き放ってやれば、
お前は、もっと穏やかで
幸せな暮らしを送ることができたかもしれん」

すると、美和は答えました。

「私はこの家に生まれたことを、
今まで一度も不幸と思うたことはありません。

この家で生まれて、父上の娘で、幸せです。
これからも、ずっと・・・」

そして美和は涙ぐんで言いました。

「まことは私、戻ろうと思うて来たんです。
この家に・・父上の娘に・・」

すると百合之介は、
桜の花びらを指さします。

「散っておりますね」

と、美和が言いますと、百合之助は言います。、

「いやぁ、散っちゃおらん。解き放たれとるんじゃ。
人も、花と同じじゃ。
放たれて、旅立つ。

お前を惜しみなく降り注ぐことができる場所への」

その言葉を聞いた美和は、
何かが吹っ切れたのでした。

そして、美和は兄・吉田松陰の肖像画を
じっと見つめてから
笑顔で見送る滝と百合之助に頭を下げ、
奥御殿へ戻りました。

 


 

守り役に任じられる

山口の出立の朝、
都美姫が園山と日出とともに
「美和、美和はどこへ行った」と探しています。

「美和ならばおりません」
と銀姫が答えると、
美和が興丸を抱いて現れます。

美和の覚悟を確認した都美姫は
興丸の守り役に、美和を認めました。
銀姫も嬉しそうです。

幕府との戦に備え
長州藩は、再び山口に
城をかまえることとなります。

高杉晋作は新たな野望を抱いて長崎に向かい
小田村伊之助は、藩の命運を背負って
大宰府を目指します。

 


 

コメントを残す