上海土産のスワトウの刺繍 破約攘夷への転換

                                         

「今さら何を言われるか !?」
長井雅楽は反論します。

京で開かれた御前会議で
藩主・毛利敬親へ周布政之助が
藩是として掲げてきた公武合体を廃止し
破約攘夷」に転じるという
建白をしたからでした。

「御公儀に刃を向け、
方々はお家を潰すおつもりか !!」

長井の言葉に対して、
周布は藩主・敬親に進言します。

「日本国がなくなれば、
もとより御公儀も毛利家もありません。

今こそ破約攘夷を掲げ、
広く諸藩に呼びかけて
決然と異国をはらう時なのでございます。
・・・ご決断を !」

破約攘夷」とは、
井伊大老が天皇の許しを得ずに結んだ
不平等条約を破棄するということです。

長州藩は公武合体から破約攘夷へ
こうして大きく舵を切ることになり
久坂玄瑞の謹慎も解かれました。

 


 

高杉晋作の帰国

高杉晋作が上海から帰国し、
雅から高杉家に呼ばれた
文、敏三郎が土産を見ています。

文への土産は、きれいな刺繍がしてある
スワトウのハンケチーフです。

雅はピストルに興味を示しています。

そこへ高杉の父・小忠太が
あわてて飛び込んで来ます。

「軍艦1隻、勝手に買いおって・・
お前は長州藩を潰す気か~ !?」

高杉は、旅支度で家を飛び出し
思いつめた面持ちで呟きます。

「急がにゃ・・
もはや一刻の猶予もならん・・」

藩主・敬親へ上海の報告をするために
高杉は、京へ向かいました。

 


 

寿と伊之助の息子・篤太郎

杉家では、滝、亀と吉田ふさが
スワトウの刺繍を見ている横で、
雅が「組みひも作り」に集中しています。

そこへ、寿が、息子・篤太郎を
探しにやって来ます。

文が書庫から篤太郎を連れて現れると

「なぜ、こねなところにおるんです ?
聞けば近頃、明倫館にも
行っておらんというではありませんか !」
と、寿は篤太郎を叱ります。ameirinkan001

「学問は何のためにするんですか ?」
篤太郎はそう尋ね、さらに続けます。

「『学を言うは志を主とす』
伯父上の言葉を目にして以来、
ずっと考えて来たんです。
答えもまた、伯父上の書かれたものに
あるかもしれんと !」

寿は目を丸くして驚きます。

寿が家に帰った後、篤太郎は
杉家で熱心に書物を読んでいます。

そんな篤太郎に、文は
松陰が塾を始める時に記した
『松下村塾記』を手渡しました。

 

 

上海の報告

atakasugi001「清国が列強に食い荒らされる様は
想像を絶しております。
その文明も、我々の思惑を
はるかに超えております。」

京の長州藩邸で、高杉は
藩主・毛利敬親に報告します。

「破約攘夷を掲げただけでは・・
足らんと申すか !?」

と言う敬親に、高杉は続けます。

「攘夷、誠に結構。
しかしながらそのために幕府を動かし、
国を一つになどと
悠長なことを言うておっては
とても間に合いませぬ。」

「一刻も早う軍備を固め、
長州ただ一藩なりとも立ち上がり、
目の前の敵を打ち払わねば・・」
と、高杉は鬼気迫る勢いで敬親に訴えます。

 

 

高杉晋作と久坂玄瑞

その晩、料亭に
周布政之助・高杉晋作・久坂玄瑞・吉田稔麿が
集まりました。asake

「殿の御前で、藩是にケチをつけるとはの~」
酔った周布が言います。

「お前らは異国を知らん」
高杉は、清国の悲惨な様子を話します。

「お前が上海に行っとる間、
我らは同士を募り、
決死の思いで長井を倒そうとした。
そのために亀太郎が死んだ !!」

と久坂は反論します。

「今は足元を固める時じゃ。
そのためにはまず朝廷に働きかけ
幕府を動かす・・・」

そこまで久坂が言いかけると
高杉は、つまらん・・と言います。

「お前の考えはつまらん。
何も狂うておらん !!
そねなありきたりなやり方で
攘夷がなると思うか ?」

「亀太郎を殺したんはお前じゃ。
お前のつまらんやり方が
亀を追い詰めたんじゃ !!」

高杉に、そう言われ
耐え切れなくなった久坂は
その場から飛び出します。

途中の料亭の廊下で、久坂は足を止め
亀太郎の最後を思い出し
やりきれなくなり
「ああ~!」と叫び
思い切り鴨居を叩き、泣いてしまいます。

しばらくして、視線を感じ振り返ると
一人の芸姑が、そんな久坂を
じっと見ているのでした。

芸姑は、辰路と言いました。

第20話「松陰、復活」その2  へと続く

 


 

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