松浦亀太郎の志 そして廻瀾條議

                                         

第19話「女たち、手を組む」その2 からの続きです。

それからある日のこと、杉家で
久坂玄瑞からの手紙で、
無事に京に着いた・・・と
文が敏三郎に話をしていると、
松浦亀太郎が訪ねてきます。

亀太郎は、自分の描いた
吉田松蔭の肖像画や黒船や異人の絵を
見ながら言いました。

「黒船の話、聞きとうて聞きとうて塾に来たんです。
先生は話してくれました。
異人の話も・・・
漢詩の中で描かれた世界も・・
見たことのないもの、美しいもの、
たくさん見せてくれた。

気付かんかった。
俺の夢はもう叶うとったんじゃ。
松蔭先生が叶えてくれたんじゃ・・・・

先生 ! 俺・・・」

松陰の肖像画を見ながら
亀太郎は、何かを決心したようでした。

 


 

亀太郎の志

a-nagaiuta「長井がひいきにしている茶屋はここだそうです」

京の宿屋に、塾生たちが集まり
地図を見ながら相談していると
物音がします。

前原一誠が刀に手をかけ戸を開けると、
干物を持った亀太郎がいて、
塾生に笑顔が広がります。

そして久しぶりの酒宴が行われます。

その後の深夜・・・
酒を飲んだ塾生たちは寝ていますが
亀太郎がいないことに前原が気付きます。

あわてて前原と久坂は、
外へ亀太郎を探しに行きます。

路地に座り込んで長井雅楽を
待ちぶせをしていた亀太郎は
震えながら出刃包丁を握り、
茶屋から出てきた長井を
一人で襲いかかります。

長井は軽い傷を負っただけでしたが、
亀太郎は返り討ちに遭い、
久坂と前原が駆けつけた時には
もう虫の息でした。

「久坂さん、あんたは・・
こげな所で死んじゃいけん。
最初に死ぬんは、
わしみたいな弱い者でええ。

前原さん・・・お別れです。
どうか『』をつないでつかあさい」

そう言い遺すと亀太郎は
出刃包丁を自ら腹に立てました。

「松蔭先生、楽しかった」
そう言いながら亀太郎は果てました。

久坂も前原も泣き叫びます。

j松浦亀太郎の死は、京への旅支度をした
小田村伊之助から萩の杉家に伝えられました。

「亀太郎なりに『』を果たそうとしたんじゃろう」

そう言うと伊之助は京に向かいました。

 


 

女たちもできること

shouka02この知らせを聞いた亀太郎の母・フネは
松下村塾に来て、
亀太郎の生前には否定していた
亀太郎の書いた絵を一枚、一枚眺め、
涙を流しました。

そんな中、高杉の代わりに雅が
フネに弔問の挨拶にやって来ます。

雅は、さらにフネに
京にご子息をどのような覚悟で
見送られたのか・・
心中を聴かせて欲しいと言ってきました。

場もわきまえず、
そんな不躾な質問をする雅を
今までの雅の態度もあったことから、
文は、雅を帰らせようと押しのけます。

しかし、雅の言葉を聞いて、
文はハッとします。

雅は単に興味本位な質問を
したわけではありませんでした。

雅は、武士の妻たるものは
狼狽えずに夫を送り出せと
幼い頃より教えられてきましたが
夫の「待ち方」は、
誰も教えてくれなかったので
フネから教えて貰いたかったのでした。

雅は、上海に行った夫・高杉のことが心配で
寂しくて、不安で仕方がなかったのです。

ただ待つだけで夜も長く
眠れない日々が続いていたとのことでした。

文は、そんな雅の
女の待つ身のつらさを理解を示した上で
女たちもやれることがある・・
できることがある・・って
信じていることを雅に伝えます。

かまぼこの売上のお金をふさが出し、
子どもたちが折り紙を竹とんぼを出します。

たまらなくなった亀は
大きな瓶に入った沢山の銭を出します。

亀のへそくりにフネも笑い
亀太郎のへそくりを思い出し泣き笑います。

「ひとりやないです。私たちがおります」

滝は、そう言いながらフネの肩をさすりました。

 

久坂の建白書

WS000090 (2)久坂は重臣の長井暗殺未遂事件の関与を疑われ、
謹慎を受けていましたが、
伊之助とともに、京の藩邸へ周布政之助を訪ね
廻瀾條議」という建白書を提出します。

久坂は周布に問いかけました。

「どうか、お選び下さい ! この長州の未来を。
古きしきたりに縛りつき続けるんか ?
身分に関係なく『志』を持った者たちの『熱』に託すんか ?
・・お選び下さい。

松浦亀太郎の死を、
過ちを犯した一介の魚屋の死として葬るんか ?
それとも、この長州のために
命を投げ打った志士の死と認められるんか ?」

「もしもお前たちを選んだら ?」
と周布が久坂に尋ねると

「この久坂玄瑞が
長州を背負って立つ覚悟にございます」

と、堂々と久坂は答えました。

 


 

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