井伊直弼と吉田松陰 そして留魂録

                                         

第17話「松陰、最期の言葉」その2 からの続きです。
小田村伊之助が江戸に到着し
牢獄にいる吉田松陰に会いに来ます。

当時の日本の政(まつりごと)を取り仕切っている
幕府の大老・井伊直弼に、直接会って
自分の思いを、思い切り語りたかったので
自分から罪をほのめかしたことを
松陰は、伊之助に漏らします。

 


 

伊之助の励まし

a-shouinまた失敗だった・・
自分の言葉はどこにも届かなかったと
松陰は悔しがります。

「悔しい・・悔しい・・悔しい・・!」

命を顧みず己の信念を貫こうとする
松陰の姿を目の当たりにした伊之助は、
『志』をあきらめぬよう
友として、力一杯励ましました。

本当は、伊之助は、
松陰に生きて帰ってきて欲しかったので、
詮議の場では何も言うな・・・と
友として、説得に来たのです。

「生きろ !! ・・ お前らしく・・」

伊之助は、松陰の生き様を尊重したのでした。
松陰は泣きながら喜びます。

 


 

思いの丈を述べる時

Print10月5日、吉田松陰の取り調べが
再び行われました。

姿は見えないが、奥に誰かいることに
松陰は気付きます。

井伊直弼がいることを確信した
松陰の眼は輝きます。

奉行の石谷は、
老中の間部をお諌めするとは
御公儀に対して不敬だとは思わないのか
松陰に、問い糾します。

「なれば、天子様のお許しも得ず
メリケンとの条約を結んだ井伊様こそ
不敬の至りでござる !!」

奉行たちは、松陰の言葉に驚き
蜂の巣をつついたように慌てますが
井伊の指示により続けさせます。

「徳川家が200年以上の長きに渡り、
この日本国を太平に保たれて来たは
公方様が「徳」を持って
治めてられて来たからに相違なく・・

しかし、今、幕府は、
この国の未来を憂いて立ち上がった者達を、
次々に捉え、拷問し、処刑している !
『徳』ではなく『力』で
政(まつりごと)を押し付けんとする井伊大老に
この国の未来を託すことができましょうや !!」

 

 

井伊直弼との丁々発止の渡り合い

奉行の制止するも、かまわずに
松陰が、思いの丈を続けて述べていると
奥の方から、立派な身なりをした井伊直弼が現れます。

a-ii井伊直弼
「国を混乱に陥れているのは
お前たちの方ではないか ?」

吉田松陰
「我らは唯、我らの思う一歩を踏み出し、
国を救いたいと思うておるのみ。」

「その一歩とは攘夷か?」

「異国の大筒に脅され国を開いては、
いずれ日本国は
異国の思うがままにされてしまいます !」

「なればこそ、国は強くならねばならん。
異国に国を開き、異国の手を借りてでも。」

「草莽の声に耳をお方向け下さい !!」

「秩序を欠いては、国は国でなくなる」

「もはや、この国は、
ただひと握りの者達だけでは
持ちこたえられませぬ。
万民が力を尽くし守らねば・・・!

『徳』をなくした政の果ては・・
『亡国』にございます」

「許さぬ」

(桃太郎侍 !?)

「もとより命など惜しんではおりませぬ」

丁々発止の渡り合いは
松陰が、幕吏に引っ立てられて終わります。

「ふぅ~」
深いため息をつく井伊でした。

(やっぱり、桃太郎侍 !?)

 

帰ったきた松陰

anoyama01「死罪」を覚悟した松陰は
『留魂録』と『永訣の書』をしたためます。

留魂録』は、もしものことを考えて
2部作成し、1部は
牢名主の沼崎吉五郎に託します。

場面は、塾生が集まっている
萩に変わります。

「ただ言葉を交わし、
顔を見合わせるだけのことが
これ程、力になるとは・・・
できればこれからも皆さんとともに・・」

そう言って前原が塾生に頭を下げます。

母・滝は、塾生のために
お風呂を沸かしています。
そこで、松陰と話をしますが・・
振り向けば、姿はありませんでした。

百合之助も松陰と話をするが
誰もいなかったと・・
家に戻り、滝に言います。

松陰は、約束を守り
帰って来たのでした。

塾生の楽しそうな様子も
勝因は嬉しそうに見ていました。

 

松陰の遺品

江戸から戻った小田村伊之助が
険しい顔で杉家を訪れます。

伊之助の包の中は、
『留魂録』、『永訣の書』、硯、
金子重輔のボタオ、
そして松陰の遺髪でした。

留魂録』には、松陰の最期の言葉が
綴られていました。

今私は、死を前にして心安らかです。
今更、誰を恨もうという気もありません。

それは命について、
こう悟ったからです。

春に種を蒔き、夏に苗を植え、
秋に実り、冬には蓄える。

人にも同じように四季があります。
人の命とは歳月の長さではない。

十歳で死んでいく者は十歳の中に・・
二十歳で死ぬ者は二十歳の中に・・
それぞれ春夏秋冬があり実を結んでいる。

私は三十歳ですが、
収穫の時を迎えたと思っております。

もし同志の中で、
私の心を継いでくれる人がいたら、
私の実は空ではない。

どうか、一粒の籾として
次の春の種となれますよう・・・

井伊直弼による「安政の大獄」は
吉田松陰の処刑を持って、
幕が引かれることとなりました。

 


 

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