届かぬ声と「伏見要駕策」

                                         

第15話「塾を守れ !」その1 からの続きです。

そんなある日、野山獄に敏三郎が来て
伏見要駕策」は自分決行することを
松陰に、筆談と手話で伝えます。

「僕も塾生だ。兄上の味方だ。
 みんなが寅兄に背を向けても僕は寅兄を信じる

 一番悲しいのは、が届かんこと。
 一番悔しいのは、伝えようとしても受け取ってもらえんこと

声が出せない敏三郎だからこそ
の届かない辛さ・を切実に感じたのでしょう。

( これこそ、杉家の家族です !! )

 


 

敏三郎の決意

さらに、一生懸命に筆談や手話で、
敏三郎は続けます。

「寅兄の声は、僕が受け取る。
 僕が行って来る。
 きっとうまくやれる。せわぁない」

そう松陰に伝え終わると
敏三郎の柔和な面持ちは
鋭い眼差しとなり
伏見要駕策」を決行するため
その場を立ち去ろうとします。

「行っては・・・ならん !」

涙ながらに、
必死に敏三郎を止める松陰。

 (自分の家族は死に向かわせない
 自己中心的な人間のように描写して
 松陰の印象を悪くしようとしているのでしょうか・・!?)

一方、杉家では、
松陰が退屈だろうと・・・
お咎めがない家族からの手紙を
みんなで書いています。

 


 

入江九一・野村靖兄弟

a-nomura塾生たちは悩んだ末、野村靖が
松陰の「伏見要駕策」を実行に
京に向かいます。

妹のすみが止めるのも振り払い
野村は「伏見要駕策」の決行に向かいます。

すみは、文に、松陰を罵りながら
助けを求めます。
前原一誠は、小田村伊之助に
野村を止めて欲しい、助けて欲しい・・と
土下座して頼みます。

それから、しばらくして・・
文は野山獄へ行き、松陰に言います。

「野村さんが脱藩して京へ向かいました。
 寅兄が授けた策を実行するために」

それを聞いて松陰は目を輝かせます。

そこに伊之助が来ます。

野村靖は、藩から追っ手が出て
間もなく捕らえられること、
それを知って兄の入江九一が
策の首謀者は自分だと自首してきたこと、
そして、兄弟共々岩倉獄に
繋がれることになろう・・と
伊之助は、松陰に告げます。

松陰は力が抜け、座り込みます。

 

 

松陰の悲痛の叫び

a-susuri哀れな兄の姿に
文は、松陰の筆と硯を
手渡そうと取り出します。

そして、松陰の言葉は人を救っている・・
そのままですごい人だ・・と訴えます。

「帰ってきてつかぁさい・・
 英雄なんかにならんで、ええから・・
 そのまんまの、ただの兄上として」

 (別に、英雄になろう・・だなんて、
 松陰は思ってない・・と思いますよ)

「どうか帰って来て、生きてつかぁさい。
 私達といっしょに・・・」

文がそう言うと、松陰は呟きます。

「・・・酷な事を言うのう。
 それは、僕の人生ではない

 (「もはや我生くるにあらず
 キリスト我が内に在りて生くるなり」

 という使徒パウロの言葉が頭に浮かびました。
 国のために殉じようとしている松陰の覚悟を感じます)

こんな自分でも死んで見せれば、
心を動かして立ち上がる人間もいるだろう・・
そうして見せなければ、
どれだけ待ったところで
『志』を持った者が決起することは
永遠に来ない・・と松陰は言います。

「僕はもう・・・死ぬことでしか、生きられん」

すると伊之助が叫びます。

「お前の死に場所はこねぇなところじゃない !!
 顔を上げろ! 寅次郎!!」

すると、松陰は、
伊之助を睨んで言います。

 いつになろうと君は、
 僕を止める事しかできん。
 死ねん人間だからじゃ。君も、久坂たちも。

 「死ぬ覚悟はある。じゃが無駄死にはせん」
 そねな事は嘘じゃ !

 「時が来る。今ではない」

 そう言い続けて
 何をなす事もなく人生が終わるんじゃ !

 をあげん者に
 が届かん者の気持ちは分からん !

 事をなさん者に
 失敗した者の気持ちは分からん !!

 伊之助 !
 いつだってお前は
 傍で見物するだけじゃ。

 お前など友ではない。
 藩の犬に・・おまえなど友ではない !!!

 口先だけは立派な事を言うて
 何の行動もなせず・・・。

 そういう人間を、僕は最も憎む

(これぞ松陰先生 !! スッキリしましたぁ~)

 

・・・僕も同じじゃ。
 僕は・・・僕を憎む !!
 何の役にも立たん !
 世のため人のために・・・何も !

悲痛の叫びをあげる松陰。
さらに続けます。

 

 僕には真心が足りんのじゃ。
 僕の至誠は伝わらん !

 その証拠に・・僕はいっつも間違うた。
 僕は何をなした !?
 すべて失敗じゃ。

 猛々しい事をすると
 口では言うといて・・
 何をなす事もできん。

 何もなせずに生きる事が・・
 恐ろしいんじゃ !! 

伊之助も文も・・何も言えません。
文は、ひれ伏して泣き崩れます。

 


 

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