野山獄から塾生たちへ宛てた「伏見要駕策」

                                         

吉田松陰の過激な言動を恐れた長州藩は
松陰を野山獄に再投獄し、
安政6年(1859)杉家に松陰のいない
正月が訪れます。

看板を外された松下村塾には
もう誰もいません。

野山獄には、高須久子だけが
自ら獄に一人だけ残っていました。

文と梅太郎は野山獄へ行くも
松陰は、獄中でも一分一秒を惜しんで
学問をしています。

「僕は信じています。
 真心を尽くせば必ず伝わる」

藩の人にも吉田稔麿にも小田村伊之助にも
必ずわかってもらえると
松陰は信じていました。

間部老中要撃のことも諦めることなく
江戸の久坂玄瑞と高杉晋作へ手紙を書きます。

 


 

久坂玄瑞と高杉晋作からの諫め

江戸の久坂玄瑞と高杉晋作から返事がきます。

 間部老中要撃策拝読致しました。
 先生のお覚悟感激に堪えません。
 しかし今、義の旗を立てて決起する事は
 容易な事ではございませぬ。
 今はどうか胸中の志をお抑え下さい。
 時をお待ち下さい。

との血判状でした。

「久坂、高杉までもが、このありさま・・・」

松陰は、再び手紙を書き始めます。

 


 

塾生たちの抗議

ashouka002一方、松下村塾の塾生たちは
動かぬ藩の諸悪の根源は伊之助であるとして
小田村家へ抗議に押しかけています。

「血気盛んは若もんの特権じゃが、
 君らは一度でも老中暗殺の是非を
 自分の頭で考えたか?」

塾生たちは、一人一人
伊之助にたたみかけられ
何も言葉は返させません。

 (実に不甲斐ない塾生が描かれています。
 今回のタイトル「塾を守れ !」から考えれば
 ここが山場だろうに・・・(T_T)
 史実では、塾生たちは
 周布政之助に抗議に行き
 周布が屋敷の裏口から逃げ出す程
 すごい剣幕でした)

「君らが恐れるに足らんのは
 この中の一人として
 己の本心から動こうとしとる者が
 おらんからじゃ!

 まことに何かをなそうとする者は
 世間を知り、人を知り、
 藩という組織の動かし方を
 知ろうとするもんじゃ。

 そういう人間が君らの中から現れた時、
 藩は君らを初めて恐れ
 その声を聞くじゃろう。」

伊之助は、そう言うと家に入ってしまい
塾生たちは、その場に取り残されます。

 

 

久坂玄瑞と高杉晋作への絶縁状

松陰から、江戸の久坂と高杉の元に
手紙が届きます。

 血判状をもらい憤慨に堪えません。 
 君たちは命を懸け『志』を遂げるために
 江戸に行ったんではなかったんですか?

 僕は君たち友と『志』を
 分かち合ってきたつもりじゃ。
 もはや『志』を持たん君たちとは
 絶交するしかない。

久坂と高杉も心は揺れるものの
「赤鬼」と異名をとるほど
大老・井伊直弼の取り締まりは厳しく
動くに動けない状況でした。

 

 

伏見要駕策

akogorou001そんな中、江戸の桂小五郎から杉家に
松陰と塾生の手紙のやり取りを
やめさせるように要請が来ます。

松陰の言葉に煽られて
塾生たちが事を起こすのを未然に防ぎ
松陰を守るためでした。

その頃、野山獄では、藩からの命で
松陰は、筆と硯を取り上げられます。

一方、敏三郎は、松陰からの手紙を
こっそり塾生たちに届けます。

松陰からの手紙の内容は
伏見要駕策」の決行について
書かれていました。

伏見要駕策」とは
参勤交代で江戸に向かわれる
藩主・毛利敬親公を
京の伏見で待ち伏せし、
そのまま天皇の居られる御所へお連れし、
攘夷決行のお許しを願い出る・・という
まさに、死罪を覚悟の計画書でした。

これに塾生たちは悩みます。
亀太郎は逃げ出します。

(・・・ううっ~諸君 ! 狂いたまえ !!)

その後、いつまでたっても
弟子たちの誰からも返事は
来ず、野山獄の松陰は苛立ちます。

なぜじゃ !?
なぜ !?
なぜ、わかってくれん !!
なぜ、わからん !!
守らねばならんのじゃ、国を・・
この国を・・

切実なる国に対する思いは届かず
松陰は、追い詰められていました。

 

 

伊之助の想い

a-katori西洋学所の書物庫で
本の整理をしている伊之助に、文は尋ねます。

「どうして寅兄にあげな嘘を ?」

藩へ松陰を獄に繋ぐように
伊之助が言ったということでした。

「藩命により投獄されたとなれば、
 あいつはますます頑なになるじゃろう。

 じゃが、友にそうされたんなら
 少しは己を顧みてくれるかもしれん。
 もし、俺を友と思うてくれておればじゃが・・」

しかし、文は、兄を、
ずっと遠くに感じるのでした。

文は、ただ普通の兄として
松陰に戻ってきて欲しいだけでした。

第15話「塾を守れ !」その2 へと続く

 


 

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