建白書 そして血判状

                                         

 安政5年(1858)8月、孝明天皇は、
太老・井伊直弼が朝廷の許可なく
日米修交通商条約に調印したことを咎める
勅錠を幕府ではなく、水戸藩に下しました。

これに対して井伊大老は、

「御政道に異議を唱える者達を
 一人残らず捕らえよ。
 一網打尽にいたせ !」

老中の間部詮勝に命じ、世に言う「安政の大獄」が始まりました。

 


 

安政の大獄

Unpin_Umedaこれにより、京では
攘夷派の急先鋒・梅田雲浜ともに
松下村塾の塾生・赤禰武人が
幕府に捕縛され、

いっしょにいた久坂玄瑞も
生死がわからない状況である
という知らせが、杉家にも届き
文は狼狽えます。

「事を成す時が来たということじゃ !!」

厳しい表情で、松陰は言いました。

 


 

留められた建白書

久坂の無事を仏壇に祈り
手紙を待っている文のもとに
江戸での勤めを果たし
萩に帰ってきた入江九一が
挨拶に来ました。

久坂の消息はわからず
江戸でも幕府に異議を唱えた者が
根こそぎ縛りについていることを
松陰に伝えます。

「幕府は、いよいよこの国を滅ぼすつもりか !」

それから、松陰は、矢継ぎ早に長州藩に
建白書を提出しました。

一方、小田村伊之助も
条約を破棄し幕府の間違いを正すべきだという
意見書を書いていました。

二人の建白書は、周布政之助のもとに
留められていました。

a-hagiそんなある日、父・百合之助が、
城から呼ばれ萩城に登城します。

今こそ朝廷をお助けすべき・・との
伊之助の意見に対し、
長井雅楽は真っ向から反対し、
周布も長井に同調します。

周布は、百合之助に
松陰の動きに目を光らせるよう釘を差し

「今は耐えよ ! 寅次郎を守るためじゃ」

と、伊之助に強く言い聞かせます。

 

 

必死の伊之助の説得

百合之助が家に戻ると
江戸から戻った吉田稔麿が
久坂の無事を知らせ
文は安堵します。

akogorou001その頃、江戸では
何を免れた久坂と高杉晋作が、
いま世の動きを見間違って動くと
長州藩や松陰先生に及ぶことを
桂小五郎から釘を差されます。

一方、萩では、伊之助が
藩は、今度の件について
一切関わらぬと決まったことを
を、松陰に告げます。

また、重臣たちの同意が望めないため
建白書も周布が留め置いていたことを
松陰は、伊之助から聞かされます。

大局を見極められない藩に
松陰は苛立ちますが、
思いは伊之助も一緒でした。

「ご家中は俺が説得する・・・
 どうか、それまでの間だけ耐えてくれ !

 必ず、お前や塾生たちが
 お家と足並みを揃えて動けるようにする。

 ・・・俺を信じろ !!」

そう言って伊之助が去ってから、
松陰は呟いた。

「届いとらんかったということか・・・
 ・・ただの一言も・・・」

 

 

血判状

ある晩、塾生たちは塾で
井伊の襲撃について、
熱くなっています。

江戸の実情を目の当たりにした
吉田稔麿と入江九一は慎重論です。

「まず討つべきは、井伊の命を受け
 京で志士たちを弾圧する老中、間部」

松陰が口を開きました。ashoin001

「京の間部を殺せば
 江戸の井伊に大きな揺さぶりを
 かけることができるでしょう。
 志士たちは、必ず奮い立つ。
 井伊を打つのは、そん時です。
 藩はもはや、幕府に対し無策です。
 僕たちが動くしかない!」

松陰が言い終わると

「そうすれば我らの手で幕府を変える事ができる!」

前原一誠が、そう言い、
塾生たちは奮い立ちます。

松陰は立ち上がり、部屋を変え
自分の血判を押してある血判状を、
塾生たちに出します。

「僕と『志』を共にする者はいますか?」

「暗殺に関わったとならば、
 死罪は免れません。
 無理強いはしません」

塾生たちは次々と血判を押していきました。

文は、この話を一部始終、
立ち聞きしてしまいました。

第14話「さらば青春」その2
 へと続く

 


 

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