江戸遊学と「大吉」のおみくじ

                                         

第12話「戻れないふたり」その1 からの続きです。

萩城から呼び出された久坂を
妻として送り出す文に
久坂も嬉しそうです。

ようやく良い雰囲気になれたと
文はささやかな幸せを感じていますが
城から戻った久坂は顔色が違います。

久坂は、先に塾に向かいますが
江戸の吉田稔麿から
メリケンとの条文の草案を読んだ
厳しい面持ちをした松陰がいました。

 


 

久坂玄瑞の江戸遊学

ashoin001幕府がメリケンと
通商を始めようしていることに対して
このままでは日本は、清国と同じように
西洋列強の食い物されてしまうと
松陰は強い危機感を抱いていました。

ただ事ではない様子に
握り飯を運んできた文は
お盆を持ったまま立ち尽くします。

その時、久坂が
藩医として江戸遊学を許された旨を
松陰に報告します。

文は驚きます。

また久坂は、周布政之助に
大事にしている兄の形見の両刀を
差して参りたいとお願いを申し上げ
表向きは医者としてでも、
心は武士として『志』を遂げに参ると
久坂は松陰に告げます。

『志』があっても
為すところがないままに死んでは
何の意味があろう・・

君の士気と才気を使わぬままでは
どうして生きている意味があろう。

・・・行け ! 久坂 !

久坂の『志』を受け止めた松陰は
そう言いました。

周りの塾生たちも
久坂の江戸遊学を鼓舞します。

高杉晋作は座ったまま
何かを考え込んでます。

文は、複雑そうな表情で
久坂と見つめ合います。

「いつまでも帰っ来んわけじゃないでしょう」
と、母・滝から励まされ
健気に久坂の着物の縫い物をする文。

 


 

久坂、文に離縁を申し出る

WS000090 (2)久坂は、通行手形と江戸屋敷への招待状を
伊之助から受け取りに行きます。

久坂が自分の思いを語ると
「まるで寅次郎と話しているようじゃ」
と、伊之助は笑います。

「軽挙と言われようと
 命を落とそうとかまわん。
 この国を守れるのなら・・
 『志』を遂げられるなら・・」

久坂は、静かにそう言う。

「その覚悟・・文に伝えたか ? 」

と、伊之助に問われるも
これには答えられない久坂。

一方、その頃
京の梅田雲浜らの尊王攘夷を唱える者たちが
開国に向かう幕府の動きを封じようと、
各地で動き始めていました。

その話を聞き、熱くなる塾生たち。
けれども、そんな塾生たちをよそに
久坂は、洗濯をしている文を眺めている。

久坂は悩んだ末、
本心を隠して、文に離縁を申し出ます。

 

 

文の『志』

shouin文を心配した松陰は
文の部屋に入ってきます。

そして、久坂が、
武士として行くと言うことは
学びに行くのではなく、
その命を懸けて、事を成しに行く
という意味であることを話します。

何をしてあげたらいいのかわからないと
悩む文に

「文の・・『志』は何じゃ?」

そう言葉を残して松陰は部屋から出ます。

部屋に一人残った文は
久坂の刀にお守り袋が付いているのに気付きました。

そして、中に入っている一枚の紙は
二人で黒船を見に行った時に引いた
大吉」のおみくじでした。

 

 

俺の大吉

asyougatsu2_omikujiその夜、帰ってきた久坂は、
まっすぐ松下村塾にむかうと
文が一人で正座していました。

文は、自分の思いを久坂にぶつけます。

「楽しい時は 笑えばええんです。
 素直に言うたらええんです。

 助けてほしい時は、助けてくれ・・と。

 そばにおってほしい時は、おってくれ・・と。
 江戸に行っても思うとってくれ・・と」

「うぬぼれんな」と久坂。

「うぬぼれます。
 お兄様の刀と一緒に、こねなもんを
 大事に持って行こうとしとったら、
 うぬぼれます」

そう言いながら文は
懐からお守り袋を取り出します。

「私が、この萩にいます。
 この萩で、あなたを思っとって
 差し上げます」

「私はあなたと共に生きてまいります。」

それが自分の一生の『志』であると
文は言いました。

「・・・やっぱり大吉じゃ。
 お前は俺の大吉じゃ」

久坂は嬉しそうに言いました。

「命を大事にして・・それで、
 必ず、必ずうちに帰ってきて」

文が泣きながらそう言うと
久坂は文を抱きしめます。

すると、襖が倒れて
塾生たちが雪崩こんで来ました。

「いつから!卑怯者が!!」

と、慌てる久坂に

「全て、そこの女幹事の計らいじゃ!」

と、高杉は笑い、
塾生たちが宴の準備を始めます。

「あなたの江戸行きのお祝いです!」と文。

「お前にはあの嫁がお似合いじゃ」と高杉。

「お前に言われんでも分かっとる」と久坂。

 

 

不穏な予感

久坂の江戸行きと時を同じくして、
梅太郎と亀の長男の小太郎が生まれました。

杉家に待望の跡取りが生まれ
喜びに包まれる一方で、
松陰は、一心不乱に机に向かっています。al_020

「狂うときが来たんじゃ・・・」

その眼光は鋭く光っていました。

久坂が江戸に向かった2ヶ月後の
安政5年4月23日、
井伊直弼が大老に就任します。

この後、安政の大獄が起きることは
まだ誰も知る由もありませんでした。

 


 

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