吉田稔麿の『志』と江戸遊学

                                         

蟄居を命じられ自宅のわずか三畳半の幽囚室で
吉田松陰(寅次郎)が始めた松下村塾
昼夜を問わずいつも開かれている型破りな学舎で
武士、百姓、町人の身分の区別なく
学を志す者なら誰でも入門することができました。

後に初代総理大臣となる百姓出身の伊藤利助
噂をききつけ松下村塾に訪れます。

「で?君は何を志しますか?」松陰先生が問うと

立身出世です」と即座に答え伊藤利助は、さらに続けます。

「己に少しでも知恵と力があるなら、
 それを活かして今より、
 ちいとでもええ暮らしがしたい。
 そう思うちょります」

 


 

江戸遊学に憧れる吉田稔麿

身分が低く貧しいため、
学ぶことをあきらめていた吉田稔麿
松陰先生のもとで勉強しているうちに
向上心を抱くようになります。edo001

財政的にも身分的にも
遊学などできるはずがないと諦めているものの
学問で学ぶために江戸に行きたがっている
そんな稔麿の本心を知った文は、
兄・松陰(寅次郎)に相談するも
松陰は手助けする気がない様子です。

文は、今度は藩の重役につてのある
叔父・玉木文之進に相談してみます。

すると、江戸屋敷からも
ちょうど人をよこすよう通達があったと言うので
稔麿を推挙するよう、文は文之進を
この話にうまく乗せます。

優れた人物を選んで江戸に遣わせるべきという
松陰からの意見書と、吉田稔麿を推挙する
文之進からの上申書が藩に届くが
松陰の台頭を快く思わず、
松下村塾に目を光らせている藩の重臣・椋梨藤太は、
罪人の塾生を江戸にやるわけにはいかないという理由で
この話を握りつぶしてしまいます。

 


 

フグを食べるか食べないか

fugu「フグはうまい。じゃが毒がある。
 それゆえ、フグ食を禁じとる藩も多い。
 じゃが果たしてそれは道理に叶った禁令じゃろうか。
 君たちはどう思う?」

フグを目の前に、松陰先生は命題を出します。

  • 美味しいに食べないは愚の骨頂
  • 熱して安全に食べれば問題ない
  • そもそも毒があるものを食べる必要がない
  • 毒があるからこそ食べる
  • 虎穴に入らずんば虎児を得ず
  • 君子危うきに近寄らず・・

などなど・・・塾生達は論じ合います。

その話の流れの中で、
稔麿が江戸遊学を希望しており
その話が進んでいることが
塾生の中で話題となります。

 

大人の戦場(いくさば)

kyaba稔麿が江戸遊学が決まったと早合点した高杉晋作は
「江戸での戦の仕方を教えてやる」と言って
塾生達を、大人の戦場(いくさば)と称して
現在で言うキャバクラへ塾生を連れて行きます。

そこには明倫館の学生達も来ており
明倫館の学生からからまれますが
稔麿の江戸行きの前祝いだからと高杉はかわして
宴会の部屋に向かいます。

高杉の三味線の音に引かれ
泥酔したた周布政之助が部屋に乱入、
周布を連れ戻しに長井雅楽も来ます。

そこで、周布と長井からの話から
「吉田松陰の弟子を江戸にやるわけには行かない」
と椋梨の横ヤリが入り、
稔麿の遊学が叶わなくなったことを
塾生達は知ります。

「塾生というだけで
 こねーな扱いをされるいわれはございませぬ」

いつかは自分も江戸で学びたい想いを持つ
久坂玄瑞は強く憤り、松陰先生に訴えます。

 

 

なぜ学ぶか ?

「僕の弟子というだけで
 江戸行きの願いが断たれるとしたら
 君たちに深く詫びねばなりません」
と前置きしてから、松陰先生は問います。ashoin

「吉田君も久坂君も、
 なぜそれほどまでに、
 江戸に行きたいんじゃ?」

ハッキリと二人は答えられません。

「吉田君、聞かせてくれ 君の『』は何じゃ?

問答が続くも、明確な回答ができず
稔麿は、言葉に詰まってしまいます。

「聞いとるのは・・なぜ学ぶかじゃ。君の『』じゃ !
 今、この場所で己を突き詰め『』を見つけられん者に、
 一体他国へ行って何ができるというんじゃ !?

』のない君のような者が、
 江戸へ行っても無駄です !!

松陰先生からの厳しい言葉を
塾生達深妙な面持ちで聞いています。

稔麿は、いたたまれなくなって、その場から飛び出しました。

第10話「躍動 ! 松下村塾」その2
 へと続く

 


 

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