清須会議に間に合わなかった滝川一益

                                         

第7話「奪回」その2 からの続きです。

こうして6月28日に滝川一益は
人質を木曽義昌に引き渡し、急いで
木曽地方を通過して行くが、
結局、清須会議には間に合わなかった。

織田家屈指の名将と言われた一益も
こののち清須会議より台頭する
羽柴秀吉より力を奪われ
二度と信濃に戻ることはなかった。

 


 

とりに頭が上がらない木曽義昌

一方、義昌は、人質を前に
いずれ信濃一国を治める大名になる・・
と、一席ぶっていたが、
とりを見つけるや、取り乱す。

武田氏が健在だった頃、
まだ悪童だった義昌を
とりはよく知っており、
義昌もとりは頭の上がらない
怖い存在であった。

大恩ある武田氏を裏切った義昌を
とりは叱り、人質を帰すようせがむ。

義昌のような力を持たぬ者が
生き抜くためには
人質はなくてはならないもののため
とりの頼みといえど、義昌は
それには従うことはできなかった。

そこで、とりは義昌に
真田信繁だけでも返して欲しいと願い出る。

信繁はこの提案に反発するが
とりの顔を立てるかたちで、
最終的に渋々承諾する。

また、とりが鬱陶しがっていたきりも
信繁とともに帰されることになる。

こうして信繁は解放されるが、
元気がないのを案じたきりが
信繁の気を晴らそうと
色々と話しかけるが、何を言っても、
口喧嘩になってしまうのだった。

そんな言い合いながらも
仲の良さそうな二人を
矢沢三十郎は微笑ましく見ていた。

 


 

上杉氏と北条氏を股にかけた大勝負

小県では、室賀正武が
北条氏についたことを受け、
他の国衆たちも続々と
それになびくことが考えられた。

そのため真田昌幸は、出浦昌相に
北条氏に属したふりをして
内情を探るよう支持すると、
上杉景勝に会いに海津城に向かう。

景勝と対面した昌幸は、
上杉氏に縁の深い信濃に侵攻する
北条氏に真田家が属することはない・・
と宣言すると、景勝はそれを信じ、
小県を守ると約束する。

真田屋敷に戻った昌幸は
とりの奪還にしくじった信繁を叱り
失敗続きの息子に、
自分の勘に頼りすぎてはいけない・・
と諭す。

昌幸も勘だけで生きてきたが
それは場数を踏んで手に入れた勘であり
それでもたまに間違えるのだから
信繁がしくじるのは仕方ない・・と
考えていた。

信幸は勘に頼らないから
おのずと間違いが少ないと
昌幸は語る。

源三郎は間違いは少ないが
くそ真面目で面白くない・・
お前は過ちを犯すが面白い・・
面白くなくては人は動かん・・
ふたつでひとつじゃ・・
と、昌幸は
二人が合わせてひとつだと言う。

そして昌幸は、
姉と祖母で二度しくじったから
三度目は上手くいくだろうと期待し、
信繁に再び仕事を頼む。

海津城にいる信尹の指示に従い
春日信達を調略し、
上杉氏から北条氏に寝返らせることだった。

昌幸は北条氏へ従属するにあたり
室賀や他の国衆との差別化をはかるため、
春日を調略した上で上杉を攻め
一番手柄を取ろうとした。

誰の下にもつかない・・と決心した
昌幸には、北条氏に属した後の
青写真もあった。

上杉氏と北条氏を股にかけた
真田家の大勝負は
はじまったばかりだった。

 


 

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