甲州・木賊山の麓の田野村に潜む武田勝頼

                                         

「決断」その1 からの続きです。

その頃、武田勝頼一行は、
甲州・木賊山の麓の田野村にいた。

甲府も織田勢の手に落ち、
勝頼たちは、いよいよ行き場が
なくなっていた。

随行している跡部勝資は、
真田昌幸を信じ
岩櫃城へ行けば良かったと後悔するが、
勝頼は、これも天命・・と悟り
穏やかな表情さえ見せる。

木賊山は、勝頼の先祖・武田信満が
追い詰められ自害した場所であった。

勝頼は奇妙な因縁を感じ、
皮肉な笑みを浮かべていた。

 


 

農民へ変装

一方、真田家一行は、三十郎が
近くの村で農民の扮装を調達し、
みんなだ顔に泥を塗り、
変装して、岩櫃城に向かっていた。

その甲斐あって、
武士の一団とすれ違っても
真田一族とは疑われることなく
危機を免れたのであった。

そんな武士の去りゆく背を見て
松は、別れた夫・茂誠のことを
想うのであった。

その茂誠は、笹子峠で
先行きを心配していた。

陣幕の中で、
小山田氏の家臣・小山田八左衛門が
田野村に潜んでいる勝頼を捕らえ
織田方に引き渡すことを
小山田信茂に進言するが、
そこまで落ちぶれたくない・・と
信茂は拒む。

けれども、信茂は
岩櫃城に向かった真田家一行の動向に
目を光らせるので遭った。

 


 

苦悩する徳川家康

焼け落ちた新府城跡に、徳川家康が
一人たたずんでいた。

後に乱世を治め
260年に及ぶ徳川幕府の礎を築く家康も、
この頃は、三河・遠江を領有する
ただの一大名であった。

自分だったら・・・
新府城に残って最後まで戦う・・か
攻めにくいことで知られる
真田の岩櫃城へ行っていた・・・
と、思う家康は、解せずにいた。

武田信玄にあれほど苦しめられたのに
武田氏が滅びたことが、
それほど嬉しくないことを
なぜか・・と、家康は自問する。

家康は、浮かない表情で
家臣・本多正信に、そんな本音を漏らす。

勝頼が、決して愚鈍な男ではなく、
むしろ武勇に秀でていたことを
家康は知っていた。

ぼんやりと考えていた家康は
焼け跡にあった鉄製の香炉をつかんで
火傷をし、子どものように大騒ぎする。

そんな家康に半分呆れながら
ふきの葉をあてれば治る・・
と、正信は慰める。

何でも知っているような正信に
これからどうなるのか・・と
家康が訊くと、
信長の力がさらに強大になるだろう・・
と、正信は答えるのであった。

 

 

小山田八左衛門への疑念

翌朝、真田家一行は、
小山田八左衛門の部隊と
野道で出くわす。

八左衛門は、農民に扮した
泥まみれの真田一行の姿に驚くが、
松たちを助け、無事に岩櫃城まで
連れて行くように
小山田信茂に命じられたと言う。

信幸や松は、信じて安堵するも
信繁は八左衛門を疑っていた。

岩殿城を守りを固めねばならない時に
岩殿城城代の八左衛門の兵を割いてまで
信茂が、自分たちを守るとは思えなかったのだ。

「決断」その3 へと続く。

 


 

コメントを残す