孟子と明倫館 禁書『海防憶測』

                                         

至誠にして動かざるは、
未だ之有らざるなり

 

第1話の中で、寅次郎が何度も言っていましたが、
中国の儒学者の孟子の言行録『孟子』の中に書かれた言葉です。

誠意・真心を尽くせば、この世に心を動かされない者は誰もいない。

という意味で、吉田松陰が好んで使ったと言われています。

このように「孟子」の教えが、ところどころで出てきますし、
吉田松陰という人物に大きな影響を与えています。

 


 

「孟子」・・第1話で文や寅次郎が暗誦していた言葉

寅次郎が暗誦していた言葉は
孟子の言行録『孟子』の中の「滕文公章句」3章の1からです。

「庠(しょう)序(じょ)学校を設け為して、
 以って之を教う。
 庠は養なり、校は教なり、序は射なり。
 夏には校といい、殷には序といい、
 周には庠といい、
 学は則(すなわ)ち三代之を共にす。
 皆、人倫を明らかにする所以(ゆえん)なり。
 人倫、上(かみ)にて明らかにすれば、
 小民、下(しも)にて親しむ。
 王者起こること有らば、必ず来りて法を取らん。
 是(これ)、王者の師為(た)るなり。」

解説もなかったし、「何を言っていたんだろう・・!? 」と、
気になってましたので、現代訳を、以下に記します。

文が暗誦していた言葉の現代語訳

「庠・序・学校などを作って、人民を教育しなければなりません。

 庠は養の意味で、老人を敬い養う道を教えるところであり、
 校は教の意味で、子弟を教え導くところであり、
 序は射の意味で、射礼を教えるところです。

 夏の時代には校といい、
 殷(商)の時代には序といい、
 周の時代には庠といっていますが、
 そこで学ぶ内容は3つの王朝ともみな同じで、
 人倫(人の道)を明らかにする教育でした。

 このように上に立つ者が人の道を明らかにして教え導けば、
 下々の人民は互いに親しむようになります。
 もし天下に王者が興てば、必ず滕にやって来て、
 滕の政治を手本とすることでしょう。
 そうすれば、王者の師となることができます。」

 


 

『明倫館』

藩士たちが学ぶ『明倫館』という長州藩の藩校の名前も
上記の孟子の「人倫を明らかにする」という言葉からの由来です。

ドラマの中の『明倫館』も、なかなか熱を感じましたよね。
当時の若い藩士たちは、きっとすごい熱意で
明倫館』で学んでいたんでしょうね。

 

禁書『海防憶測』とは

あと第1話で、禁書の『海防憶測』という本が、気になりますよね。

海防憶測』は、幕臣の古賀侗庵という江戸後期の学者が
鎖国を頑なに維持しようとする幕府の対外政策批判した書物です。

北方ロシアに対する備えの必要性とその方法について特に述べられており、
諸外国と渡り合うために海外への進出や貿易をすべきであるという
海外進出論」を主張しています。

斬新な思想なのですが、当時の幕府の政策を否定し内乱を招くものとされ
禁書」の扱いとなってしまいました。

鎖国体制にあった幕府の情報統制により、
このように当時の人々は新しい思想を知る事が限られていました。

 


 

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